<第2部>『スーパーヒロイン危機一髪』  (作 ベスト氏)

  第5章


完全に佳乃の意識がなくなったことを確認して、ベストたちは投網を外した。
170cmのスレンダーな佳乃のしなやかな肢体が床に横たわっているのを、ベストは丹念に撮影し始めたのだ。
ぴったりと身体にフィットしたレザースーツはボディラインがはっきりとわかり、格闘家とは思えない程、キュートでスマートな肉体である事をうかがわせた。
今から縛り上げる獲物の「素」の魅力を始めに十分に表現するのは、ビデオ製作者の義務だとベストは考えていた。
縛られる前のあらゆる身体の部位の魅力を見せなければならないのだ。
床にうつ伏せに倒れている佳乃の姿、顔をゆっくりと撮影する。
まず、黒いロングブーツの先端から撮影しだした。
黒いレザーパンツの光沢、光って見える小ぶりなお尻と順に映していくのだ。
黒いレザージャケット越しに盛り上がるバスト、柔毛が光る襟足と銀製のバレッタで纏め上げられた緑の黒髪。黒くてくっきりとした眉、丸みを帯びたふっくらした頬、そしてこれから猿轡を噛ませるやや大きめの口が半開きになっているのを見て、ゴクリと生唾を飲み込んだ。

フレアミニスカート姿の瞳が傍に立ち、腕を組んで、男たちに話し掛けた。
「さあ、ベストちゃん、あなたの思い通りに縛り上げてみなさい。映画監督になったつもりで、好きなように責めて御覧なさいな。ゆっくり見物させてもらうわよ」
ベストは嬉しそうにうなずくと、作業に入った。
ベストはレザージャケットのファスナーをそっと下ろす。
2人掛で抱き起こしてジャケットを脱がせると、ジャケットの下には裾の短い黒のタンクトップシャツを着込んでいた。
硬くて丸く白い肩と上腕部が艶めかしく汗で光り、鍛えた弾力のある肢体をうかがわせている。
ジャックナイフで黒のタンクトップをすそからゆっくりと切り裂いていく。
真っ白な滑らかな素肌が見えて来た。
格闘の激しさを物語るようにシャツの下には汗が噴き出して、健康な若い女性の体臭が鼻腔を貫き心地良い。
恐ろしいまでに鍛えぬいた腹筋の筋が見えたあと、オフホワイトのブラジャーが姿を顕してきた。
身体には全く贅肉の無い、将に美筋ともいうべき肉体である。
白いブラジャーにベストの表情が一気に恭悦の表情に変わっていった。
ベストの構想では、ブラは白でなければならないのだ。
1/2カップのブラで寄せて上げているのがわかる。Cカップだろう。
ふくよかな乳房が半分見え、大きな谷間ができている。
鎖骨が大きな窪みを作り、彼女特有の少し盛り上がった上胸部の艶かしさを確認した。
ベストは成熟した大人の女性の色気を何故かこの鎖骨と上胸部に感じるのだ。
真っ白なブラの肩ヒモと小さなストラップが眼に眩しいのだ。
縛り屋の男たちが思わず感嘆の声をあげた。
「すげえ身体してやがる!まったくいい女だぜ。これだけの上玉縛りあげるのは初めてだ。いかにも身体がしなやかそうだし。おい!見ろよ!この肌の弾力!それに贅肉なんてまったくないぜ!すっげえ!へへへ」
すると、そばから瞳の叱責が飛んできた。
「いったいいつまで眺めてる気?息吹き返さないうちに縛りあげてお終いなさい!。これからたっぷりと調教してロシアに売り飛ばす大事な玉なのよ。間違っても舌なんか噛まれて死なれたら元も子もないのよ!さあ、早いとこ猿轡噛ませなさい!」
瞳はそう言い放つと、部屋の中央に置いた高級そうな1人掛けのソファにどっかりと座り、ミニの足を組んで見物始めた。

縛り屋は手分けして、ベストの指図通り縛り始めた。
一人は黒いロングブーツの上から足首を揃えて白いロープで縛りあげた。
その後、レザーパンツの上から膝下と太ももを二重にロープを掛けると、それぞれ縦縄を噛ませて絞りあげた。
細い足首を思わせる細身のブーツ。足首部が細い事がいい女の条件である。
その細い足首を揃えて白いロープが革の上からギュッと食い込んでいる。
日本人離れしたように長い足。膝下の脛部も膝上の太股も細くて長い。
そして、材木を結わえるかのように白いロープが膝の関節の上下を締め上げ、連動したように縦縄を噛ませてある姿は、まるで猪が猟師に捕らえられ、獣縛りに丸太棒ぶら下げられた姿を連想するのである。
美脚であるが故に黒いブーツとレザーパンツを締め上げた白いロープのコントラストが美しくもあり官能的に見えるのである。
白と黒のコントラストはベストの美の価値観そのものであった。
この後、彼女が覚醒して悶える時、革と革が擦れあう音、白いロープが軋みあう音は、美しい旋律を奏でて、ベストの視覚と聴覚を満足させてくれるはずである。

もう一人の男はまずご丁寧に後ろ手に手を廻して、掌を腰の後ろで合掌させると、親指と親指を合わせて細い革の紐で結わえたのである。
万一に備えて縄抜けできないようにである。ベストはシンプルな縛りを要求してきた。
親指を抑えることによって、縄向け出来ないように万全を期したのだ。
それから、後ろ手に合わせた手首の腹と腹を合わせて丁寧に手首にロープを巻いていった。手首に縦縄を噛ますと、次は肘を近づけて、肘上を幾重にもロープを掛けて、合わせるように縛り上げ、縦に留め縄を噛ませた。自然と肩が後ろに引かれるような姿勢になり、バストが大きく前に突き出した。
2人の男達の縛りは、シンプルで不必要なロープが全くないにも関わらず、佳乃の手足の関節をきちっと抑えており、身体をくねらす以外に自由が全くない完璧な拘束を思わせた。
光沢のある白い素材で作られたブラジャーのカップには、花柄の刺繍が施され、中央にピンクの小さなリボンのついた、意外にも清楚なブラだ。
張った上胸部にブラの肩ヒモが吸いついている。
ハーフカップのブラからは真っ白な乳房の上部が盛り上がり、大きな谷間を作っている。
バストが前に突き出した分、後ろに寄せられた肩は固定されたようになり、肩甲骨同士が背骨の方にグッと近づき、鍛えられた背中の筋肉が、縦に大きく窪みを作った。
乳房の下からわきの下へはブラのサイドラインが張りついている。
白いブラのサイド部は横皺がきれいに見え、指で触るとツルリとした手触りが心地良い。腕が後ろに伸びた分、わきの下がはっきり見え、白い肌と白いブラ、下胸部のあばら骨の浮き上がりもベストには特別新鮮に見えた。
女性のわきの下のブラのサイドラインをじっくり見る機会など、ベストのように恋人のいない若い男には、滅多にないのだ。
ブラのサイドラインの艶かしさを表現したボンデージビデオなどベストは見たことがなかった。
どれもこれも、日本のビデオはバストのカップ部ばかりがフォーカスされているのだ。
張りのある肩から背中の筋肉にはブラヒモがピチッとフィットしていて、ちょうど白いロープで縛られた肘の上辺りにはブラジャーのバックベルトと2段のホックが自己主張するように見える形になった。
まだ、彼女の意識は戻っていない。
「さあ、今日の為に準備した、コレを噛ませなくっちゃ!」そう言ってベストはポケットから竹製の猿轡を取り出した。
佳乃のやや大きめの口幅よりも、少し長めに切られた竹筒に手拭を裂いて通したベストのオリジナル猿轡である。
「さあ、抱き起こして」と男達に命じて、一人に佳乃の顎に手のひらで下支えさせながら、もう片方の手で眠っている佳乃の口を開かせた。
ベストは背後から竹の猿轡を、唇を突き出すように開かされた口にねじ込み、強くうなじに引き絞った。
佳乃の口は大きく割れ、まるで奥歯で竹を噛み締めているかのように、口に装着された。

「へへへへ、こいつはいいや!さあ、早く吊るして下さい。」
佳乃の身体は抱き起こされ、後ろ手首の縄尻が天井から吊るされた。
肩の高さよりやや低い位置まで手首が吊るされると、長身の佳乃の身体がやや前屈みにつんのめり、首が垂れている。
黒いロングブーツ、黒いレザーパンツに眼に眩いほどの真っ白なブラジャー。
背が高く、鍛え抜かれた筋肉の鎧を纏った抜群のプロポーションの美女が、白いロープで手足をシンプルに縛り上げられ、竹の猿轡を奥歯までしっかりと噛まされている。
後ろ手に吊るされたしなやかな肢体は、まるで冬の湖に一羽だけ羽ばたこうと翼を広げた白鳥のように美しく神々しい姿に思えた。
将にベストが以前ゆり子に語り、ゆり子は50時間前に佳乃に言って聞かせた風景そのものが出来上がったのである。

瞳はソファに腰おろして、眼の前でベストたちが佳乃を縛り上げるのを楽しんでいた。
目の前には、隣の部屋からゆり子が連れてこられて、ソファの前に胡座を掻いて座らされていた。

ゆり子と佳乃。
組織がこれまで取り扱った世界中のどんな美人と比較しても全く遜色のない2人の美女。
そして、丁度今ロシアの大富豪から入っているオーダーは,「スタイルが良く、若くて綺麗なサムライ娘。武士道の心得のある強い日本女性を調教して連れてきて欲しい。金に糸目はつけない。数十億だしても構わない」
というものだった。
オーダー主はロシアの石油王でイングランド・プレミアリーグの名門クラブ『チョルシー』をポケットマネーで一昨年買ったことで有名な「ア・ブラひも・ビッチ」氏なのである。
とにかく桁違いの大金持ちなのである。
この2人ならきっと大満足してもらえると思う。
自分の手で屈服させられたら、ボスからどんな褒美が貰えるのか、と考えたら瞳は胸がときめいて仕方なかった。
そしてゆり子は可哀想に、昼間噛まされた猿轡のままである。
相変わらず、瞳のショーツを詰め込まれ、白い布で大きな結びコブを作った猿轡を口一杯にがっちりと噛まされていた。
白い布の結びコブは,ルージュと唾液が交じり合いピンク色に変色するほどに濡れていた。必死に吐き出そうとしたらしく、唇の端から瞳の白いショーツのフリルが少し覗いている。
昼間から一度も瞳はゆり子の猿轡を外すことを許そうとはしなかった。
ゆり子が何とか猿轡を外そうと必死に詰め物を吐き出そうとして、ほんのちょっとでも猿轡が緩むと、瞳が目敏く見付け、「ちょっと!、私のショーツがお嫌い?吐き出そうなんて何様のつもりなの?可愛くないわよ!」と言いながら、厳しく締め上げるのである。
中国の媚薬を股間にあれほど塗り込んでも、反抗的な眼差しを変えようとはしない。
恐らく全身が沸騰するように熱く、内臓が煮えたぎるほどの苦しみだったはずだが、猿轡を噛み縛り、獣のような声を上げながらも、服従しようとしないゆり子が、可愛げのない女に見え、折檻の為に猿轡だけは締め続けたのだった。
ゆり子の口の唾液はカラカラに渇き、その辛さから、首を小さく振って必死に耐えていた。
ピンクのブラジャーとショーツ姿も相変わらずで、後ろ手に手首の腹と腹を合わせて縛られて、肘から胸の上下にも胸縄がしっかりと縛られていたのである。
足は胡座を掻いて座らされ、足首を交差した状態で縛られる胡座縛りにされ、さらに股間には数センチおきに結びコブを作ったロープを秘部に食い込むように噛まされていた。

瞳はこの可愛げのないゆり子と目の前で眠り続ける猛獣をいかに調教して服従させるかも思案していたのだった。