『ゆり子の災難』 (作 ベスト氏)

  第2章


「じゃまず背中に手を廻して、腰の後ろで手首の腹と腹をくっつけて立って下さい。」
そう言って緊縛が始まった。
真っ白いロープでまず手首を縛り、縦に一本ロープを噛ませると、次ぎは肘を合わせて同じく縛り、肩が固定するように、縄尻を肩に廻した。
腕を後ろに、ピンと棒のように延ばした縛りである。
あえて胸縄をしないのは、この縛りだと自然と胸が前に突き出るような姿勢になり、必然的にブラウスからブラジャーのカップが鮮明に透けて見えるようにである。
椅子に腰掛けさせた後、黒いパンプスを揃えさせてから、本当に細い足首にもロープを巻き付けていく。
縄尻を膝上にも廻して膝を縛り上げるとシンプルだが、身動き出来ない厳しい緊縛が出来あがった。
「じゃ写真撮りますよ。ベスト,猿轡準備して!」そう言われて、黒い覆面をした誘拐犯役のベストが瞳の背後に廻り、かなり大きめの赤いボール猿轡を瞳の顔の前にぶら下げた。

「瞳さんには、今日は突然拉致されたセレブな女性になりきっていただきますね。まず最初に、そのボール猿轡の赤いボール部を「エッ!」って顔で見詰めてくださいね。(まさかこんなものを私に噛ませる気なの! 冗談はやめて!)そんな顔をして下さい。難しいかもしれませんけど、猿轡って、言葉を封じる道具じゃないんです。私は「眼」に言葉を発せさせる道具だと思ってるんです。「眼」の演技を撮りたいんです。難しいかもしれませんが、頑張ってみていただけないでしょうか。猿轡される女性が、事前に今から噛まされる猿轡や詰め物を見せられて、(お願い!静かにするから止めて!)とか(こんな大きな物、口に入らないわ!)なんて顔の表情・眼の動きを撮影したいんです。少し不安そうな誘拐された直後の女性の心理でお願いしますね。」
そんな演技指導から始まったのである。
「はい、わかりました。頑張ってやってみます。」
そう言って、はにかむような返事をすると、いきなり瞳はプロの女優顔負けの表現力で演技を始めたのであった。

想像以上の瞳の演技力にゆり子は、ビックリしながらも大満足で、ゆり子は撮影に夢中になっていった。
「それじゃ、猿轡を噛ませますよ。瞳さん、縛られて無駄とわかってても首を嫌々して抵抗して下さいね。」
「ベスト、いつも言うけど、猿轡されるシーンやその時の拒絶する女性の顔が一番好きっていうマニアが圧倒的なの。ゆっくり丁寧にボールを嵌めこんでから厳しく絞り上げるのよ。大切なシーンなんだから、わかった?」
ベストが言われた通り、瞳の口に、顎が外れるかと思わせるボール猿轡を噛まそうとする。
関節を押さえたシンプルだが手抜きの無い縛りで瞳の身体は、身悶えするのもままならない程である。
それでも、瞳は、か細い身体を必死でくねらせ、顔を小さく揺さぶりながらボール猿轡を拒絶しようと演技を始めた。
ベストが瞳の頤を優しく掴むと、大きなボールを瞳の口にかっぽりと嵌め込み、口の奥まで丹念に押し込み始める。
やや大きめの瞳の口が、大きく開かされ、下あごが固定されるように口の中にボールがかっぽりと嵌め込まれた。
それから今度は乱暴にうなじにストラップを引き絞ったのだ。
「ウウンンン」と小さく呻き、嫌々と顔を小さく振りながらも、猿轡を受け入れた表情が、まるで可憐な少女を思わせるほど、いじらしく見える。
瞳の鼻の横から口元にかけて、大きな皺が寄り、顎下から頬にかけても2本の横皺が刻まれた。
ベストがストラップを厳しく引き絞り終わると、瞳の端正な顔は洋梨のように醜く縊れ、美人であるが故に被虐感を漂わせている。
「もっと厳しく出来ない?」ゆり子はまだ不満らしく、瞳の背後に廻り、ベストが噛ませた猿轡を再度絞り直した。
これには、これまで必死に痛みに耐えてきていた瞳も思わず「ウゥゥ」と小さく呻き声を漏らし、背中のゆり子に顔を向けて睨もうとする程だった。
しかし、ゆり子は気づかなかったが、このちょっと前、ベストが縛られている瞳の掌に小さな折りたたみナイフを手渡していたのである。
瞳は今必死にそのナイフを握り締めて痛みに耐えていたのだ。

「はい瞳さん、顔はちょっと背けて、眼はこっちを睨みつけて。眼に思いっきり力を込めて下さい。猿轡された女性の顔は眼が命なんです。」
と注文をつけながら、撮影は進んでいく。
端正な美人の怒った顔は一段と魅力的だ。
怨めしそうに愁いに満ちた瞳の大きな眼差しと、小さく震える優しく柔らかな熟しきったボディラインは、大人の女性だけが発することの出来る艶めかしさに思えた。
椅子に座って縛り上げられている瞳を、やや上方から見下すアングルで撮ろうとする。
「瞳さんは、今誘拐されてきたばかりです。上着を剥ぎ取られ、薄く透けたブラウス姿にさせられて縛られました。身悶えする度に、背中や肩には、申し訳ありませんけど、チラチラとかなりブラジャーが透けて見えてます。目の前の、アシスタントの誘拐犯は、ゲスな嫌らしーい目付きで瞳さんの身体を舐めるように見ています。瞳さんは今、もの凄く怒ってます。抵抗も諦めてませんし、縛めを解こうと、身悶えして、呻き声も上げて下さいね。囚われた美女の無駄なあがきを撮りますから。悔しそうに、でも上品に身体を揺すって下さい。そして、眼には(私をどうするおつもりなのです!乱暴は許しませんよ。)って眼差しで上目使いにカメラを睨みつけて下さいね。」
瞳はボール猿轡で動かせなくなった小さな顎を、僅かに引いてうなずくと、「ムムンンンムン」と呻き声を上げながら、身体を小さくくねらせ、潤んだ瞳を流し目にしながら、カメラを睨みつけてきたのだ。
驚くことに、完璧に瞳はゆり子の要求を応えていったのである。
嬉しくなったゆり子は、快調に撮影を続けていった。

目の前の瞳は、長く白い細い足が揃えて白いロープで縛られ、黒いパンプスの微かに擦れ合う音が聞こえてきている。
ウエストの細さがミニのタイトスカートからはっきりわかり、太股のストッキング擦れ合う音さえも、魅惑的に思えるほどである。
髪をアップにした襟足に締め上げられた革のストラップの留め金具が妖しく光り、後ろ手に肩を固定するように縛られた拘束は、瞳の肢体をとても窮屈そうに見せている。
大きく左右に開かされ胸をピンと張った恰好になった上胸部には、ブラウス越しに鎖骨とブラジャーのストラップが透けて見え、小さなアジャスターとリンクがブラウスから浮き上がってきていた。
ふっくら盛り上がったバストがブラウスに吸い付き、1/2のハーフカップブラの白い刺繍のデザインまでもがうっすらと透けて見えるほどである。
スレンダーで華奢な肢体の瞳が、椅子の上で、小さく身悶えしながら、縛めを解こうと身体を揺すりくねらせる姿は、特別に美しく、まさに言葉では表現出来ないくらいな妖艶な色気が満ち溢れ漂ったとゆり子には感じられたのである。
「わあ! 瞳さん! ものすごく綺麗!本当に素敵です。凄い演技力だわ。」ゆり子はシャッターを押し続けながら、瞳を絶賛し続けていた。
そして、ちょっとカメラの手を休めると、
「瞳さん、ちょっと御免なさい、少し失礼します。」
というと、ブラウスの襟元から中に手を入れ、ブラジャーの左のストラップだけを、二の腕にずり落としたのである。
「下着の乱れが見えるのって、何か囚われの時に、必死に抵抗した女性って感じがするでしょ!」
と瞳に向かって微笑むと、二の腕にずり落ち、ブラウス越しに透けて見える左のブラのストラップを丹念に撮影しだした。
着衣のまま緊縛された女性の薄いブラウスの袖に、細く健康的な白い素肌の二の腕が綺麗に透けて見え、ブラジャーのストラップがずり落ちてきている構図は、おとなしく縛られたのではなく、必死に抵抗したことを想像させ、DIDシーンで凄く「物語」になると思ったのである。

ゆり子は、これまで同性の女性のランジェリー姿には全く無関心だったのだが、今日の撮影はブラジャーにスポット当てて撮影してみようと決めていたのだ。
実は10日ほど前、ベストと雑談していた時だった。
「ゆり子さんも知ってると思いますけど、僕って女の人のブラが大好きなんですよね。なんか大人になった証って感じですかね。でも最近の若い女の見せブラとか、女子高生の無造作な透けブラ見ると、むかつくんです。色気ってもんがわかってないんですね。やっぱゆり子さんみたいな大人の美人が、時折見せてくれるわずかな透けブラがいいんですよ。綺麗な女の人の、背中のホックが浮き上がって見えたり、腋の下のブラのサイドラインの透けが拝めた時とか、最高に得した気分になります。特にゆり子さんのは最高です!。この前、ゆり子さんのブラウスのボタンの間から、ピンクのブラのカップがチラリって見えた時は鼻血が出そうでした。」
言い終わらないうちに、ゆり子はたまたま横に置いてあった撮影に使う乗馬用のムチで、思いっきりベストの太ももを叩きつけた。
すごく腹がたった。
その上叩かれて喜んでるベストにもむしょうに一段と腹がたったものだ。

しかし、その時、ゆり子は一度はそのベストのアイデアに沿って撮ってみるのもいいかな、と思った。
今日は、若い男の子のベストの意見に沿って、女性のブラジャーに焦点を当てて撮影してみよう!と決めて撮影に臨んでいたのである。
その為に、ゆり子は瞳に昨日、撮影にはあえて薄くて白いブラウスを着てくるようにお願いしていたのだ。
高級ブランドらしい薄く白いブラウスを着た瞳の背中には、オーソドックスな2段ホックのバックスタイルの白いブラジャーがくっきりと透けて見えている。
肩にちょっと食い込んでいるストラップはもちろんの事、2段2列のホック部の形状やバックベルトのカットラインの縫い目まで間近からだと綺麗に透けて見え、高級ブランドのブラジャーであることまで判るほどである。
背中の肩甲骨や背骨の尾根の丘までも綺麗に透けて見え、同じく透き通った二の腕の艶かしさと相俟って、瞳の上半身からは、34歳の大人の女性の上品で清潔なフェロモンが発散して、さっきから部屋中に充満しているように感じられた。

ゆり子は更にここで、「ごめんなさいね。またちょっと失礼します!」と言うと、ブラウスの2段目のボタンをひとつ外したのである。
「今から胸元のチラリズムを撮ってみたいんです。男性の方って、この胸元のチラリズムが特にお好きみたいなんですよ(笑)。今日はそれに挑戦してみたいんです。また、少し斜め上から撮影します。瞳さんは、そうですね、時代劇のお姫様になった気分で、(この不埒者!どこを見ているのです!無礼は許しませんよ!)って言っている感じで、下あごで強くボールを噛み締めながら、怖い顔で、カメラを睨み帰して呉れませんか?縛られた女性の下着を覗き見る男なんて凄く卑怯で最低でしょ(笑)。口惜しい!って顔をお願いしますね。」そう言いながらレンズを覗き込んだ。
瞳の真っ白なブラウスの胸元のボタンの間から、透き通るような白い肌がちょっと見え、同じく真っ白なブラジャーの1/2カップの白い刺繍の模様がチラリと覗き見えたのである。
間近までレンズをズームしてみると、真っ白で薄青い静脈が浮き上がった乳房の上半分とブラのカップのパットの間に包まれたピンク色の乳輪がちょっぴり覗いている。
リクエスト通りに瞳は、下着を覗き見られる女性の恥ずかしさと口惜しさを「眼」と「口元」に表現しながら、「むむん」と小さく呻き声を上げながら、レンズを妖しく睨み付けたのである。
ゆり子には、清楚な薄く白いブラウス、透き通るような白い素肌、純白のブラジャーのカップが覗き見える胸元と、残酷に食い込むように深く噛まされた猿轡の無残さ、このギャップこそが、清潔な魅力の瞳を一層被虐的に表現出来たように思えたのだった。
「きっと男性マニアは、こんな美人の姿・表情が好きなんだわ。」とそう思いながら、シャッターを押し続けたのである。

瞳の素人離れした見事な演技に満足したゆり子は、一旦、ブラジャーのストラップを元に戻し、ボタンをはめ直したのである。
そして、今度はボール猿轡から飲み込めずに、こぼれ落ちる涎のアップを撮りはじめた。
時間の経過と共にボール猿轡から垂れ落ちる涎は、瞳の白いブラウスの胸部をびしょびしょに濡らし始めていたのだ。
ゆり子の狙い通り、突き出た美しいバストが、涎で濡れたブラウスからふっくらと盛り上がっている。
そして、真っ白なブラジャーのカップの花柄の刺繍の細部までが、揺れる胸元に浮き上がってきて、一段と綺麗に「濡れ透け」始めたのだ。
瞳に涎を垂れさせて、ブラウスが涎で濡れさせる為に、あえてまず、最初にボール猿轡を噛ませていたのである。
口一杯に頬張るように噛まされた猿轡と身悶えして揺れる「濡れ透けバスト」、上胸部の鎖骨やストラップと、小さいアジャスターのリンクと一緒に丹念に写す。
想像以上の瞳の艶かしさに、ゆり子は夢中になって撮影を続けていった。
もう少し待ってもっと涎でぐしょぐしょになったらもっと綺麗な「濡れ透けブラ」を撮ろう、そう思ったときだった。
アシスタントのベストが声をかけてきたのだ。

「先生、すみません。僕急にお腹が痛くなって。ちょっとトイレに行って来てもいいですか?もう、我慢出来ません。」