<番外編>『ベスト物語〜悲劇の始まり』  (作 ベスト氏)

  第1章


諸氏の親愛なる同士・ベスト氏の本名を皆さんはご存知だろうかか?。
実は彼の本名は「滝沢准一」というのである。
顔も名前もかなりマジにジャニーズ系が入っている青年なのである。
その彼が、どのような経緯で、川嶋ゆり子のフォトスタジオで働くようになったかを振りかえった物語である。
これは彼が計らずも、ボンデージマニアにさせられた悲劇の物語でなのである。
これからの物語は、彼の本名の「滝沢准一」で紹介させていただくことにする。


滝沢准一は、半年前、写真の専門雑誌で川嶋ゆり子の事を知った。
有名な女性スポーツカメラマンとしての紹介だった。
紹介された写真は、どの写真も素晴らしく、カメラの専門学校生だった准一には、雲の上の写真に思えた。
カメラマンとしてはひよっこの准一には、羨望の眼差しで眺める他なかったのである。
しかし、それ以上にインタビューを受けるゆり子の顔写真の方にもっと惹かれた。
自分好みのキュートな可愛い7歳年上の女性だったのである。

それからしばらくして、偶然にもそのゆり子を、自宅のアパート近くで見かけたのである。
自宅とゆり子のマンションとは、すぐ近所だったのだ。
ゆり子は10階建てのマンションの4階に住んでいたのだ。
それから、准一の密かなストーカー行為が始まった。
数日後、オフィスに通勤するゆり子の跡を追って、同じ電車の車両に乗り込んだ。
ところが、満員電車で乗客に流され、不覚にもゆり子の眼の前になってしまったのある。
しかし、気持ちを思い返して、真正面からゆり子の事をじっと見詰めていた。
すると、ゆり子も准一の視線に気付き、意識し始めたのである。
少しドギマギしたようなゆり子の表情が堪らなく可愛かった。
その後も、あえて何回か同じ電車に乗り込み、顕かに顔を覚えられてしまった。
いや、あえて顔を覚えてもらおうとしたのである。

そして思い余って、准一はある日、路上でゆり子を隠し撮りした写真を添え、履歴書と一緒に、「アシスタントとして雇って欲しい、例えどんな安給料でも構わない、ゆり子さんの下で修行させて欲しい。」と自分がストーカーである事さえも忘れて書き送ったのである。
しかし、1週間しても肝心のゆり子からは何の連絡もなかったのである。
無視されたと思い、准一は完全に凹んでしまっていたのである。

そして、あの日、運命を変える日が訪れたのである。
その日、准一はいつものように路上からマンション4階のゆり子の部屋を見上げていた。いつも通りベランダには洗濯物が干してあるのがわずかに見えたのだ。
そして、ひとつだけ黒っぽいヒモのようなものが見え、目を凝らしてみると、それがゆり子の黒いブラジャーだとわかったのだ。
そう思うと、とたんに欲しくなったのである。
咄嗟の衝動で、隣のビルから4階に侵入出来ることに気付いて、壁伝いにベランダに侵入してしまったのである。
干してある黒いゆり子のショーツとブラを手に取り、そっと鼻に近づけ匂いを嗅いでみた。いい香りがした。これが憧れのゆり子さんの体臭の香りだと思うと気絶したいほどだった。
それだけで、もう十分に興奮してしまうほど満足だった。
本当はそれだけで十分だったのだ。
ところが、神様は残酷な運命を用意していたのだ。
准一に不意に部屋の中を覗かせてしまったのである。
何とテーブルの上に女性が縛られ猿轡を噛まされた写真が、何十枚も置いてあるのに気付いてしまったのだ。
何故そんな写真が若い女性の部屋にあるのか、その理由が准一は無性に知りたくなった。
そっとガラス戸に手をかけると、鍵が掛かっていないのだ。
4階という安心感から、ゆり子が鍵を掛けずにいたのである。
手に持っていた下着をポケットに入れると、身体がまるで吸い込まれるように屋内に准一は侵入したのだった。
写真をじっくり眺めた後、部屋の中を見渡すと、白いロープやボール猿轡など緊縛道具がいくつもある事に気付いた。
ゆり子のライフワークでサイドビジネスがボンデージ写真家である事を、この時准一は知ったのである。
その後、タンスの中のランジェリーを物色していた時だった。
背後に人の気配を感じたのである。
准一が、振りかえった瞬間、1人の女性がすっと近づき、准一の鳩尾に当身を食らわせたのである。
その女性が、外出から帰ってきたゆり子だったのだ。
意識が朦朧とする准一にゆり子はスタンガンを押し当ててきた。
准一は完全に気絶した。ゆり子が護身用にスタンガンを持ち歩いていたのである。

それから、どれくらい気を失っていたのだろう。
准一は眼が覚めると、後ろ手に雁字搦めに縛られ、胡座を掻いた状態で足も縛られ、横倒しに転がされている事に気付いた。
咄嗟に声を出そうとしたが、口一杯に何かを押し込められて、猿轡を噛まされている事にも気付かされたのである。
「ウググウグッ」と喚き、手足をばたつかせて見たが全く縛めは緩まない。
時代劇で罪人がよく縛られている亀甲縛りに胡座転がしにされているのだった。
首を廻して自分の姿を見ると、裸にさせられた上、女性ものの白い小さなショーツを履かされ、白いブラジャーをはめられて縛られているのに気付いた。
恥ずかしさに全身の血液が逆流しているのがわかるほどである。
更に夕闇が迫った窓ガラスに映る自分の顔を見て、どんな顔かに気付かされたのである。
豆絞りの日本手拭の真ん中に大きな結びコブが作られた猿轡を、口に頑丈に噛まされ、頭には真赤なショーツを帽子のように被らされ、さらに額から頬にルージュで「下着泥棒」と書いてあるのだ。
早く縄を解いて逃げ出さなければ、そう思って暴れた時、隣の部屋から、ミニスカート姿のゆり子が入ってきたのである。
「気がついたようね、下着泥棒君。どお?その恰好?」そう言って微笑みながら近づくと、
「下手に逃げ出さないようにと思って着替えさせてもらったわよ。貴方みたいなのが、女性の敵ですものね。ちゃんとお仕置きしなきゃね。あとでその恰好のままで警察に突き出してあげるわ。どお?ふふふ」
とゆり子は准一の眼の前にしゃがみ込み、微笑みながら話かけてきた。
そして、洋服のポケットから免許証を取り出すと、
「やっぱり貴方よね、いつも私のことをストーカーしてたの。それに履歴書なんかを送りつけてきたのも彼方よね。写真を勉強中の学生さんなのね。ふ〜ん、「滝沢准一君」って本当に本名だったのね。満更冷やかしじゃなかったのね。・・・・・こんなことをしたって御両親が知ったらどんな顔するでしょうね。ちゃんと反省しなさい。下着泥棒に住居侵入は立派な犯罪よ。警察に通報しましょうかね。いいの?」

実はゆり子には、最初から警察に通報する気などなかった。
初めて准一の存在を電車の中で知ったとき、「まあ、可愛い男の子、凄いイケメンだわ」と思ったのだ。
見詰め返すと、顔が真赤になってとても可愛かった。
それから、いつも物陰から自分のことを追いかけているのに気付いた。
「こんな可愛いストーカーなら、まいっか」とさえ思っていた。
そして、履歴書と自分の写真が送りつけられてきて、ビックリして、更にどうしようかな、と悩んでいた時だったのだ。
「確かに写真のスジも悪くないわ、アシスタントもそろそろ欲しい頃だし、・・・でも、お給料が払えるかしら。でもこんな可愛い男の子が傍にいるのも悪くないな。うふ。」
将にそう思っていて帰宅した時、侵入者として准一を捕まえたのである。
それから、江戸時代の捕縛術研究家から色々な縛りを習っていたのを試してみようと、亀甲縛りの胡座縛りにしていたのである。

「ムムン,ウググゥ」と准一が呻き声を上げて、何かを言いたそうに首を振った。
「何か言いたいのかしら、それじゃ、猿轡を外してあげるわね。でも、大きな声を上げたら、またコレよ」とスタンガンを見せつける。
「ウグウグ」と首を縦に振る准一。
「それじゃ、外してあげるわ、滝沢・下着泥棒君!ふふ。」
噛ませてあった猿轡を解くと、中の詰め物をゆり子が摘み出してくれた。
何と詰め込まれていたのは、ゆり子の黒いショーツだったのだ。
さっき自分が洗濯物から盗んだショーツとは気付いてはいない准一。
「さあ、これで喋れるでしょ、私の下着の味はいかがだったかしら?特別サービスしたのよ!」とゆり子は微笑みながら、詰め物の唾液の付いた黒いショーツを准一の目の前で振ったのである。
「ホント済みません。警察は勘弁して下さい。ごめんなさい、許して下さい。もう絶対にしませんから。警察にだけは通報しないで下さい。」とお決まりの哀願を続けたのである。
そして、もう両親も兄弟もいない事、ゆり子のことを思うと、夜も眠れないほど好きである事、本気で弟子入りしたいと思っていて、洗濯物をみて、衝動的に出来心でつい侵入した事、警察に突き出すのだけは許して欲しいことを半べそを掻きながら話したのである。

その姿が、ゆり子には本当に可愛く見えて、「しばらく飼ってみようかしら!」と思ったのである。
「そうね、どうしようかしら?、私、これから約束があるの。しばらく外出するの。帰ってきてからよく考えるわ。それまで逃げ出そうなんて考えないことね。名前も住所も判っているのよ、滝沢君!。わかってるわよね。さあ、お口開けなさい。猿轡って長く噛まされてると辛いらしいわよ。これはお仕置きよ!。」
そうゆり子は言うと、准一の口に再び黒いショーツを押し込もうとする。
「お願いです、絶対に騒ぎませんから、猿轡は勘弁して下さい。」と准一は哀願した。
可愛い男の子の哀願が、一層ゆり子の心を掻き立てるなどとは思いつかなかったのである。
哀願されたゆり子は、ドキドキしながら、
「駄目です。悪いことをしたんだから、ちゃんと反省させますよ。ハイ、口を開けなさい」
ゆり子は綺麗な細い指で、准一の頤を掴み、マニキュアを塗った白く長い指で、唾液で小さく固まった黒いショーツを口に押し込んだ。
更に背後に廻ってから、さっきの結びコブの手拭を口に嵌め込むと、頑丈に締め上げ頬が歪むほどに噛ませたのである。
ゆり子自身も、正気の男性に猿轡を噛ませるのは初めての体験であり、それが若くイケメンの男の子だったから、経験したこともないくらい心臓が破裂しそうなくらい高鳴っていたのである。
「帰って来た時、猿轡が外れてたら承知しないわよ!。外そうなんて考えたら、もっとキツいお仕置きですからね。たっぷりと噛み締めて私からのプレゼントを味わって置きなさい。男の子にしたら、女性のショーツを噛まされるなんて随分屈辱でしょうけど、これは罰よ。いいわね。おとなしく良い子にしとくのよ!」
とまるで母親が幼児に言い聞かせるように言った。
それから、楽しそうに携帯を取り出したのである。
「あ、佳乃、わたし、ねえ、今日食事の後、私の家に泊まりにこない?実は今日、子犬が家に紛れ込んで来たの。ちょっと可愛いのよ、一緒に可愛がって遊ばない?」
「何いってんのよ。あなたの家、マンションの4階でしょ?どうして犬が迷う込むの?」
「その事は、食事しながらゆっくりお話するわ。今から家を出るわ。30分でそっちに着くわ。とにかくお願い!絶対に面白いから。」
「わかったわ、よくわからないけど、そうするわ。明日非番だから、そうね、デイナーの後、そっちでお酒飲んでもいいわね。着替えとか用意していくわ。」
携帯を切ったあと、ゆり子が准一に話出した。
「ふふふ、滝沢君、あと1人、後で綺麗なお姉様がくる事になったわ。一緒に晩御飯を食べたら帰ってくるから、今晩は楽しみにしとく事ね。その子ねぇ、警察官なの。あなたの事どうするか、3人でゆっくり考えましょ!ふふ」
ゆり子は、もう一度手拭の猿轡を思いっきり締め上げた。准一の頬が真ん中から割れ、上下の唇が開き奥歯まで猿轡がしっかり噛まされた間抜けな顔になった。
その准一の顔にゆり子は微笑みウインクしながら、外出したのである。

それからの3時間が、准一にはとんでもなく長かった。
どうすればいいか、が全く思いつかない。顎が痺れ、身体が痺れてきたが、自分の意思で猿轡を外そうともがくことも怖くて出来ずに、じっと噛み締めて耐えるしかなかった。